サービス業会計処理~日商簿記2級ポイント解説

サービス業会計処理のポイントを解説していきます。日商簿記2級合格に向けてポイントを理解していきましょう。

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役務収益と役務原価

役務収益とは、商品売買業でいう売上のことです。

役務原価とは、商品売買業でいう売上原価のことです。

第三者に対して財貨又は役務(サービス)の提供の完了と、その対価として現金又は現金同等物を受領したことをもって収益を認識します。これを実現主義といいます。

サービス業の場合、役務の提供の完了の認識の違いにより、「役務の提供の進捗に応じて収益を計上するとき」と「役務の提供が完了した時点で収益を計上するとき」とがあります。

役務の提供の進捗に応じて収益を計上するときの処理

務提供前に、代金を受け取った、費用を支出したときの処理

サービスを提供する前に代金を受け取ったときは、役務収益で処理をするのではなく、前受金(負債)で処理します。

仕訳
現金など××/前受金××

サービスを提供する前に費用(役務費用)を支出したときは、役務原価で処理するのではなく、仕掛品(資産)または費用科目で処理します。

  1. 仕訳
    仕掛品××/現金など××
  2. 仕訳
    給料など××/現金など××

    費用科目で処理した場合、その費用のうち、サービス提供のために直接費やされたものを仕掛品に振り替えます。

    仕訳
    仕掛品××/給料など××

(例題1)

塾を経営しているA社は、3カ月後に開講する講座(10カ月間)の受講料800円を現金で受け取った。

(解答)

借方科目金額貸方科目金額
現金800前受金800

(解説)

サービスを提供していないので、役務収益で処理せずに、前受金で処理します。

(例題2)

給料700円を、3カ月後に開講する講座に係るものとして、仕掛品勘定に振り替えた。

(解答)

借方科目金額貸方科目金額
仕掛品700給料700

(解説)

サービスを提供する前に支出した費用のうち、サービス提供のために直接費やされたものを仕掛品に振り替えます。

決算時の処理

代金として受け取った金額のうち、当期に提供したサービス分を当期の収益として処理します。

具体的には、役務収益を貸方に記入し、前受金を借方に記入します。

仕訳
前受金××/役務収益××

決算において、収益(役務収益)を計上するので、その収益に対応する費用(役務原価)も計上します。

具体的には、役務原価を借方に記入し、仕掛品を貸方に記入します。

仕訳
役務原価××/仕掛品××

(例題3)

決算において、例題1、2の取引について、収益・費用を計上する。なお、決算日現在、講座の40%が完了している。

(解答)

借方科目金額貸方科目金額
前受金320役務収益320
役務原価280仕掛品280

(解答)

役務収益→800×40%=320円

役務原価→700×40%=280円

サービスの提供が完了したとき

サービスの提供が完了したときは、代金として受け取った金額から決算において収益計上された金額を控除した金額を、役務収益で処理します。

仕訳
前受金××/役務収益××

サービスの提供が完了したときは、仕掛品の金額から決算において費用計上された金額を控除した金額を、役務原価で処理します。

仕訳
役務原価××/仕掛品××

役務(サービス)の提供が完了した時点で収益を計上するときの処理

役務の提供が完了した時点で収益を計上するときは、「役務の提供の進捗に応じて収益を計上するとき」の処理とほぼ同じです。

異なる点は、決算日において、役務提供が完了していなければ、収益を計上しません。

仕掛品で処理せず、役務原価として処理するとき

役務費用の発生が、役務収益の発生とほぼ同時であるときは、仕掛品で処理せずに、役務原価で処理します。

役務収益の発生前に役務費用が発生していることが明らかなときは、以下のように仕訳をしました。

仕訳
仕掛品××/現金など××

役務費用の発生が、役務収益の発生とほぼ同時であるときは、上記の仕訳は不要で、以下の仕訳をすればよいのです。

仕訳
役務原価××/現金など××

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