割引・割戻のポイントを解説していきます。日商簿記2級合格に向けてポイントを理解していきましょう。
仕入割引・売上割引
掛け代金を支払期日前の一定期間内に支払った場合、掛け代金の一部が免除されることがあります。
これを仕入割引といいます。
掛け代金を支払期日前の一定期間内に受け取った場合、掛け代金の一部を免除することがあります。
これを売上割引といいます。
例えば、5月1日に、A商店は、B商店から商品500円を掛けで仕入れたとします。A商店とB商店との間で、掛け代金の支払期日を5月31日と決め、5月16日までに掛け代金を支払えば掛け代金の2%を免除する(割り引く)こととした。
A商店は、5月16日までに掛け代金を支払う場合には、490円(500円ー500円×2%)を支払えばよい。
A商店は、5月17日以降に掛け代金を支払う場合には、500円を支払わなければならない。
仕入割引・売上割引の処理
1.仕入割引
掛け代金の決済を支払期日より早く行ったことにより、掛代金の一部を免除された場合、その免除額は、利息を受け取ったものと捉え、仕入割引(営業外収益)で処理します。
2.売上割引
掛け代金の決済を決済期日より早く行ったことにより、掛代金の一部を免除する場合、その免除額は、利息を支払ったものと捉え、売上割引(営業外費用)で処理します。
【補足】 掛け取引の場合、現金取引と異なり、代金の決済が猶予されることになります。 ただ、商品の引渡日から代金の支払期日までの利息分だけ、現金取引より高く代金が設定されます。 掛け代金を早期決済した場合、支払日から支払期日までの利息分を減免することになります。 なので、割引の処理は、値引き・返品・割戻のように逆仕訳をしません。 |
(例題1)
A商店は、B商店から商品500円を掛けで仕入れた。ただし、購入日から14日以内に代金を支払えば、その2%を割り引くという条件が付いている。(三分法による。)
- A商店の仕訳をしましょう。
- B商店の仕訳をしましょう。
(解答)
上の行が、A商店の仕訳で、下の行が、B商店の仕訳です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仕入 | 500 | 買掛金 | 500 |
売掛金 | 500 | 売上 | 500 |
(例題2)
A商店は、B商店に対し、購入日から10日後に代金を現金で支払った。なお、割引を受けた。
- A商店の仕訳をしましょう。
- B商店の仕訳をしましょう。
(解答)
上の行が、A商店の仕訳で、下の行が、B商店の仕訳です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
買掛金 | 500 | 現金 仕入割引 | 490 10 |
現金 売上割引 | 490 10 | 売掛金 | 500 |
(解説)
・A商店の仕訳
代金を支払っているので、負債である買掛金が減ったとして、買掛金500円を借方に記入します。
購入日から10日後に代金を支払っているので、10円(500円×2%)の免除を受けます。
この免除された10円は、収益である仕入割引が発生したとして、仕入割引10円を貸方に記入します。
残額490円は、現金を支払っているので、現金490円を貸方に記入します。
・B商店の仕訳
代金を受け取っているので、資産である売掛金が減ったとして、売掛金500円を貸方に記入します。
購入日から10日後に代金を受け取っているので、10円(500円×2%)を免除します。
この免除した10円は、費用である売上割引が発生したとして、売上割引10円を借方に記入します。
残額490円は、現金を受け取っているので、現金490円を借方に記入します。
仕入割戻・売上割戻
一定期間内に、一定金額もしくは一定数量を超える商品を仕入れた場合、代金の一部を免除されることがあります。
これを仕入割戻といいます。
一定期間内に、一定金額もしくは一定数量を超える商品を売り上げた場合、代金の一部を免除することがあります。
これを売上割戻といいます。
仕入割戻・売上割戻の処理
仕入割戻を受けたとき、売上割戻をしたときの処理は、逆仕訳をします。
つまり、売上や仕入を取り消す処理をします。
処理の仕方は、値引き・返品と同じです。
【補足】 基本的に上の処理を行いますが、仕入割戻勘定や売上割戻勘定を設けて処理することもあります。 |
(例題)
A商店は、B商店から掛けで商品を仕入れているが、500円の割戻を受けた。
- A商店の仕訳をしましょう。
- B商店の仕訳をしましょう。
(解答)
上の行が、A商店の仕訳で、下の行が、B商店の仕訳です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
買掛金 | 500 | 仕入 | 500 |
売上 | 500 | 売掛金 | 500 |
(解説)
・A商店の仕訳
仕入れ時に、【仕入××/買掛金など××】と仕訳しているので、割戻を受けたときには、仕入を貸方に記入します。
・B商店の仕訳
売り上げ時に、【売掛金など××/売上××】と仕訳しているので、割戻をしたときには、売上を借方に記入します。