株式発行【設立時】~日商簿記2級ポイント解説

株式の発行【設立時】のポイントを解説していきます。日商簿記2級合格に向けてポイントを理解していきましょう。

株式発行時の処理には、原則処理と容認処理があります。

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原則処理

株式会社は、設立時に株式を発行します。

設立時に株式会社が発行する株式数は、会社法上の公開会社の場合には、発行可能株式総数(発行することができる株式の総数)の4分の1以上でなければなりません。

株式を発行したときは、原則、払込金額全額を資本金として処理します。

(例題)

次の取引を仕訳しましょう。

会社の設立にあたり、株式300株を1株あたり300円で発行し、全額の払込みを受け、これを当座預金とした。

(解答)

借方科目金額貸方科目金額

当座預金

90,000資本金90,000

300株×300円=90,000円の株式を発行しています。

原則処理の場合、その全額を資本金として処理します。

容認処理

株式を発行したときは、原則、払込金額全額を資本金として処理します。

ただし、「払込金額のうち2分の1以上を資本金として処理すれば、残額を資本準備金として処理してもよい。」と、会社法で規定されています。

試験で、「会社法で規定されている最低額を資本金として処理する。」旨の記述があれば、払込金額の2分の1を資本金として処理し、残額2分の1を資本準備金として処理します。

なお、このような記述がなければ、原則処理で仕訳しましょう。

【具体例】

例えば、株式を発行し、払込金額が10,000円だとします。

原則処理のときには、10,000円を資本金として処理します。

容認処理のときには、最低でも5,000円(10,000×2分の1)を資本金として処理しなければなりません。残額を資本準備金として処理します。

例えば、会社法の最低額5,000円を資本金として処理する場合、残額5,000円を資本準備金として処理します。

例えば、6,000円を資本金として処理する場合、残額4,000円を資本準備金として処理します。

(例題)

次の取引を仕訳しましょう。

会社の設立にあたり、株式300株を1株あたり300円で発行し、全額の払込みを受け、これを当座預金とした。なお、払込金額のうち会社法で規定されている最低額を資本金として処理する。

(解答)

借方科目金額貸方科目金額

当座預金

90,000資本金
資本準備金
45,000
45,000

(解説)

「払込金額のうち会社法で規定されている最低額」とは、「払込金額の2分の1」のことです。

その2分の1の金額を資本金として処理します。

よって、90,000円×2分の1=45,000円を資本金として処理します。

そして、残額45,000円(90,000円ー45,000円)については、資本準備金として処理します。

創立費

会社を設立するために要する定款の作成費用、株式の発行費用、設立登記の費用など会社設立のためにかかった費用を創立費(原則、費用)で処理します。

(例題)

次の取引を仕訳しましょう。

会社の設立にあたり、株式300株を1株あたり300円で発行し、全額の払込みを受け、これを当座預金とした。なお、株式発行のための費用1,000円は、現金で支払った。

(解答)

借方科目金額貸方科目金額

当座預金
創立費

90,000
1,000
資本金
現金
90,000
1,000

株式発行のための費用1,000円は、会社設立のためにかかった費用なので、創立費で処理します。

【補足】

会社成立後~開業(営業開始)するまでにかかった費用は、開業費(原則、費用)で処理します。

創立費・開業費は、繰延資産として処理することもできますが、1級の範囲です。

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