日商簿記3級の試験範囲である有価証券売却の処理について、ポイントを徹底的に解説していきます。
有価証券売却の処理
帳簿価額>売買代金
A商店は、B社の社債1,000円(帳簿価額980円)を額面100円につき96円で売却し、代金は現金で受け取った。この仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
現金 | 960 | 有価証券 | 980 |
有価証券売却損 | 20 |
帳簿価額とは、帳簿に記載されている金額で、有価証券の取得原価のことです。
本問では、帳簿価額980円と記載されていますので、以前に、以下の仕訳をしています。
有価証券980/現金等980
上記の有価証券を売却しており、資産である有価証券980円が減ることになりますので、有価証券980円を貸方に記入します。
売却した社債の口数は、以下の算式により求めることができます。
額面総額(本問では、1,000円)÷100円=10口
1口96円で10口売却していますので、売却価格は、960円(@96円×10口)です。
代金は現金で受け取っており、資産である現金960円が増えることになりますので、現金960円を借方に記入します。
この時点で、以下の仕訳が成り立ちます。
現金960/有価証券980
上記の仕訳では、20円分、貸借が一致しません。
一致しない理由は、帳簿価額と売却価格とが一致していないからです。
980円の有価証券を960円で売却していますので、20円、損することになります。
この損失を有価証券売却損(費用)で処理します。
つまり、「帳簿価額>売却価格」の場合、帳簿価額と売却価格との差額(損失)を有価証券売却損(費用)で処理します。
帳簿価額<売買代金
A商店は、B社株式10株(帳簿価額980円)を1株100円で売却し、代金は現金で受け取った。この仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
現金 | 1,000 | 有価証券 | 980 |
有価証券売却益 | 20 |
帳簿価額とは、帳簿に記載されている金額で、有価証券の取得原価のことです。
本問では、帳簿価額980円と記載されていますので、以前に、以下の仕訳をしています。
有価証券980/現金等980
上記の有価証券を売却しており、資産である有価証券980円が減ることになりますので、有価証券980円を貸方に記入します。
売却価格は、1,000円(@100円×10株)です。
代金は現金で受け取っており、資産である現金1,000円が増えることになりますので、現金1,000円を借方に記入します。
この時点で、以下の仕訳が成り立ちます。
現金1,000/有価証券980
上記の仕訳では、20円分、貸借が一致しません。
一致しない理由は、帳簿価額と売却価格とが一致していないからです。
980円の有価証券を1,000円で売却していますので、20円、利益を得ることになります。
この利益を有価証券売却益(収益)で処理します。
つまり、「帳簿価額<売却価格」の場合、帳簿価額と売却価格との差額(利益)を有価証券売却益(収益)で処理します。
売却手数料
有価証券を売却するときに、証券会社に支払う手数料を支払手数料(費用)で処理します。
A商店は、B社株式10株(帳簿価額980円)を1株100円で売却し、代金は、売却手数料10円が差し引かれて当座預金口座に入金された。この仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
当座預金 | 990 | 有価証券 | 980 |
支払手数料 | 10 | 有価証券売却益 | 20 |
売却手数料10円は、支払手数料(費用)で処理します。
当座預金口座に入金された金額は、売却価格1,000円ではなく、売却手数料10円が差し引かれた後の金額990円となります。つまり、資産である当座預金990円が増えることになりますので、当座預金990円を借方に記入します。