日商簿記3級の試験範囲である諸掛りの処理について解説します。
諸掛りとは
例えば、大阪にあるA商店が、東京にある仕入先B商店から商品を仕入れたとします。
B商店からA商店に商品を送るためには、運賃がかかります。
このように、商品の売買に付随して様々な費用がかかります。商品の売買に付随する費用のことを諸掛りといいます。
A商店から見る運賃、つまり、商品を仕入れる際に要した費用のことを仕入諸掛りといいます。
B商店から見る運賃、つまり、商品を売り上げる際に要した費用のことを売上諸掛りといいます。
仕入諸掛りの処理
仕入諸掛りの処理は、当店が負担するものなのか、相手方が負担するものなのかで、処理方法が異なります。
当店が負担するもの
A商店が、B商店から商品500円を掛けで仕入れ、運賃50円を現金で支払ったとします。この取引の仕訳は、以下のとおりです。なお、三分法による、以下同じとする。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仕入 | 550 | 買掛金 | 500 |
現金 | 50 |
当店が負担する運賃(仕入諸掛り)は、仕入に加算することになります。
相手方が負担するもの
A商店が、B商店から商品500円を掛けで仕入れ、B商店負担の運賃50円を現金で立替払いしたとします。この取引の仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仕入 | 500 | 買掛金 | 500 |
立替金 | 50 | 現金 | 50 |
相手方であるB商店が負担する運賃を立て替えているだけですので、A商店は、後日、立て替えた分50円をB商店から返してもらうことができます。
この返してもらうことができる権利を立替金(資産)として処理します。
後日、A商店は、B商店から、立替払いした運賃50円を現金で回収したとします。この取引の仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
現金 | 50 | 立替金 | 50 |
立替払いした運賃50円を現金で回収したので、B商店から返してもらうことができる権利がなくなりますので、資産である立替金を貸方に記入します。
売上諸掛りの処理
売上諸掛りの処理は、当店が負担するものなのか、相手方が負担するものなのかで、処理方法が異なります。
当店が負担するもの
B商店が、A商店に商品500円を掛けで売り上げ、運賃50円を現金で支払ったとします。この取引の仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
売掛金 | 500 | 売上 | 500 |
発送費 | 50 | 現金 | 50 |
当店が負担する運賃(売上諸掛り)は、発送費(費用)で処理することになります。
相手方が負担するもの
B商店が、A商店に商品500円を掛けで売り上げ、A商店負担の運賃50円を現金で立替払いしたとします。この取引の仕訳は、以下のとおりです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
売掛金 | 500 | 売上 | 500 |
立替金 | 50 | 現金 | 50 |
仕入諸掛りと同様、立替金で処理します。
なお、以下の仕訳でも可能です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
売掛金 | 550 | 売上 | 500 |
現金 | 50 |
立替金で処理せずに、売掛金に加算する方法もあります。
立替払いした運賃も商品代金も、後日、A商店から回収することができます。ですので、立替金と売掛金を分けずに、まとめて売掛金として処理することもできます。
諸掛りの処理まとめ
当店負担 | 相手方負担 | |
仕入諸掛り | 仕入に加算 | 立替金で処理 |
売上諸掛り | 発送費で処理 | 立替金で処理又は売掛金に加算 |