貸倒引当金のポイントを解説していきます。日商簿記2級合格に向けてポイントを理解していきましょう。
損益計算書での表示
貸倒引当金を設定する場合、以下のように仕訳します。
【貸倒引当金繰入××/貸倒引当金××】
貸倒引当金繰入(費用)の損益計算書における表示は、債権によって異なります。
- 営業上の取引にもとづいて発生した債権(売掛金、受取手形などの売上債権)に対するものは、販売費及び一般管理費に計上されます。
- 1以外の債権(貸付金などの金銭債権)に対するものは、営業外費用に計上されます。
【補足】 貸倒損失の損益計算書における表示は、貸倒引当金繰入と同じです。 貸倒引当金戻入の損益計算書における表示は、営業外収益に計上します。 |
個別評価
貸倒引当金を設定する場合、一般債権とそれ以外の債権とに分ける必要があります。
一般債権とは、財政状態が悪化していない債務者に対する債権のことです。
逆に、一般債権以外の債権は、財政状態が悪化している債務者に対する債権のことであり、一般債権より回収できる可能性が低くなります。
そこで、一般債権以外の債権については、個別に貸倒引当金を設定します。
これを個別評価といいます。
貸倒引当金の設定額は、以下の計算式で求めます。
(一般債権以外の債権の期末残高ー担保の処分見込額)×設定率
【具体例】 3級の試験では、一般債権しか出題されません。例えば、A社の売掛金300円、B社の売掛金200円、C社の受取手形100円があったとします。 全ての債権が一般債権なので、【(300円+200円+100円)×実積率】で、設定額を求めます。 2級の試験では、債権の中に、一般債権以外の債権も出題されます。例えば、A社の売掛金300円が、一般債権以外の債権だったとします。 この場合、A社の売掛金については、【(300円ー担保の処分見込額)×設定率】で、設定額を求めます。 なお、B社の売掛金200円、C社の受取手形100円については、【(200円+100円)×実積率】で、設定額を求めます。 |
(例題)
A社に対する売掛金800円、B社に対する受取手形600円がある。売掛金については、A社の財政状態が悪化したため、担保処分見込額300円を差し引いた金額に対し50%を設定する。
(解答)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
貸倒引当金繰入 | 250 | 貸倒引当金 | 250 |
(800円ー300円)×50%=250円