個別原価計算における仕損・作業屑の処理【日商簿記2級工業簿記】

個別原価計算における仕損・作業屑の処理を解説します。

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個別原価計算における仕損の処理

製品の製造作業の過程で何らかの原因で加工に失敗することがあります。

これが仕損で、

不合格品のことを仕損品といいます。

仕損品発生に伴う費用(損失)のことを仕損費といいます。

仕損が補修により回復することができ、補修のために補修指図書を発行する場合、

「補修指図書に集計された製造原価=仕損費」となります。

補修指図書に集計された原価については、直接経費として、仕損が発生した製造指図書に賦課していきます。

【例題】

製造指図書#200の製造中に仕損(正常)が発生し、その補修のために補修指図書#200-1を発行し、当月中に補修が完了したとします。

当該補修指図書に集計された原価は、直接材料費300円、直接労務費200円、製造間接費250円だったとします。仕損費は、直接経費として処理するものとします。

↓原価計算表↓

 #200#200-1
直接材料費700300
直接労務費500200
製造間接費600250
小計1,800750
仕損費750△750
合計2,5500
備考完成#200へ賦課

補修のために補修指図書(#200-1)を発行していますので、補修指図書に集計された製造原価(750円)が、仕損費となります。

↓#200-1補修にかかる仕訳は、

借方金額貸方金額
仕掛品750材料費300
  労務費200
  製造間接費250

上記の仕訳に加えて

仕掛品勘定から仕損費勘定に振り替えていきます。

借方金額貸方金額
仕損費750仕掛品750

補修指図書に集計された原価(750円)については、直接経費として、仕損が発生した製造指図書(#200)に賦課していきます。

↓仕訳は、

借方金額貸方金額
仕掛品750仕損費750

作業屑の処理

作業屑とは、製品の製造過程で発生する材料の残り屑で、売却価値または利用価値のあるものをいいます。

作業屑が発生した場合は、評価額を見積もり、作業屑勘定で処理します。

  1. 製造指図書#200(特定の製品)から作業屑が発生した場合
    作業屑××/仕掛品××
    ※上記の××(金額)は、評価額となります。
  2. どの製品から作業屑が発生したのかがわからない場合
    1)単純個別原価計算の場合
    作業屑××/製造間接費××
    2)部門別個別原価計算の場合
    作業屑××/〇〇部門費××
  3. 作業屑が軽微な場合
    作業屑の発生時には処理をする必要がなく、作業屑の売却時に以下の仕訳をしていきます。
    現金など××/雑益(雑収入)××
    ※上記の××(金額)は、売却額となります。

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